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ヴァン・ゴッホ書翰集542番 [その他]

「日本の美術を勉強すると、疑いもなく賢明な、哲学的な、そして智慧のすぐれた人間を見出す。その男は何をして時間を費やしていると思う? 地球と月の距離を研究してか? そうではない。ビスマルクの政策の研究か? そうではない。たった一枚の草の葉を研究して過ごすのだ。
 しかし、このたった一枚の草の葉が、彼をしてあらゆる植物を描くように導き、さらに四季を、田園風景のひろがりのある情景を、動物を、そして人間を描くように至らしめるのだ。そのようにして、その男は人生を送る。そうしたことをすべて行うには人生は短すぎる位だ。 これこそ、ほんとうの宗教とも云えるのではないか?それを普通の単純な日本人が僕らに教えてくれる。彼らは彼ら自身が花であるかのように、自然の中に生きるのだ。
 日本美術を勉強すると、より明るくより幸福にならざるを得ないように思われる。僕たちの受けた教育や、伝統の仕事を無視しても、僕達は自然に還らねばならない。」

(ヴァン・ゴッホ展・1977年1月6日~2月20日/京都国立近代美術館/書翰集542番)


上は若かりし頃に観たゴッホ展の図録に載っているものです。今もってゴッホが弟テオに宛てた書簡集を好む人は多いと思います。私も以前文庫版で読んだことがあります。まだ絵を始める前のことです。

日本人が日本人をゴッホのように解釈した文章は見たことがありません。それは、ただ私が目にしていないだけなのかも知れません。

多くの方が何らかの理由で絵を描き、何らかの場で例えば画廊、ネットなども含めて発表していると思います。また、ただ描いたまま蔵している人も居ると思います。いずれにしても様々な思いを抱いて描いているのでしょう。作家として生活できる人は僅かです。周りを見渡してもそのような人は居ないかも知れません。それでも何とか糊口をしのいで描き続けている人は居ると思います。そのような人は何を思って描いているのだろうか、向き合っているのだろうかと思います。私も含めて。

諸々の諸事情を解き放って、ただ単に絵が描けるということは幸せなのかも知れません。

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